旅日記
「旅日記」八ヶ岳リトリート2日目(萌木の村で癒された)
日曜日の夕方、旅の余韻に浸り、うとうとしていたら、LINEメッセージが届いた。「ゆうこ先生、今日はハロウィンですね、急ですが、シェフ(友人)が子羊のナヴァラン作って持って来てくれるので良かったら今晩6時ごろいらして下さい。チュニジアタジン鍋とクスクスも作りました。ケーキもあります。手ぶらでおきがねなく」
そうか、今日がハロウィンなんですよね、先日の旅先でどっぷりとハロウィン気分を味わった私は、頭の中ではすっかり過ぎ去ってしまっていた。すでにワインを呑んでいた私は、カズちゃんに「残念だけど…」とメッセージを送っておいた。旅好きの彼女は、旅先で食べた田舎料理を再現それをふるまいながら、旅話しで皆んなを大いに楽しませてくれる。また、彼女には友人のフレンチシェフがいて、こうしてたまに、差し入れを持ってきてくれるのだ。ああ〜子羊のナヴァラン食べてみたかったなー
3日前に八ヶ岳リトリートの旅から戻ってきた私は、エネルギーをチャージしたのか、気分も体調もすごくいい。
正直、集団生活や団体行動はあまり得意な方ではないので、知らない人との寝泊で気疲れしないか気になっていた。しかし、1泊だけなら…という事で申込をし、名古屋にいるさつきさん(ヨガ友)を誘い、せっかくここまできたので私たち2人はもう一泊したのだ。これが大当たりで、心身ともに癒される旅となった。
清里(山梨)の森の中でたたずむ小さなホテル。庭園(萌木の村)は、すべて英国人(ポール・スミザー氏)によるデザインで、歩きやすく、庭と植物を堪能でき、また童心に帰ってたのしませてくれた。素朴で味わい深い景色は、まさに物語のような森の生活を再現してくれていた。
2日目の午後に、皆さん(ワークショップ参加者8人と講師2人)と、別れ「書くと撮るのリトリート」は終了した。
1日目のワークでは、山道を散策し、言葉を書き留めたり、写真を撮った。2日目の午前中には、廃校になった小学校(今は多目的室)で、一人ひとりの文章と写真をアップしながらの、シェアワークが行われ、学びあり、感動ありの時間となった。おおぜいの人と一緒に過ごす時間の良さは、楽しさや刺激を私に与えてくれた。文章を書くための言葉を探したり組み立てたりは、集中力を必要とするので、皆んな真剣になった。書き終えた後の醍醐味や達成感は、いつもの旅行では、味わえないものだ。私はこういうメリハリが好きだ。頭がスカーッとするので、さらに、新しい発見があったりする。
ブラジル人作家のパウロ・コエーリョが、ピレネーの山荘で過ごす日のことを書いた、日記を想い出した。
パウロは自分の生活のことを、趣の違う3つの交響曲(シンフォニー)のようなものだと言っている。第一楽章は「おおぜいの人に囲まれ」、「第二楽章は「身近なひとたちとだけ」、そして第三楽章は「人々のもとを離れて」過ごす…。ここで「人々のもとを離れて」について、私なりの考えと重なるものがあったので印象に残ってるのだと思う。
私の第一楽章は、教室で発信するヨガの時間であったり、ホームパーティだったりする。第二楽章は、家族や身近な人と過ごす時だ。そして第三楽章が、旅にでて静かに過ごす時間(日記や言葉集め)なのだと思う。毎日忙しくしているとつい見過ごしてしまいがちな四季の移ろいや、知らない土地に自分自身が溶け込んでいくのをただ感じる時、ささやかだけど、静かな歓びもたらしてくれる。
早朝のまだ暗いうちに起きて、窓を開けたら、冷たい空気が気持ちいい。それからベランダにでてみた。草木のがさがさ擦れ合う音や、生き物の囀る声が聞こえてくる。旅での最大の関心ごとは天気であって、仕事や家のこと人間関係のことなど、入る隙間もないのだ。なんて愉快なんだろう笑笑。
私たちは、朝食前に散歩に出かけた。ナチュラルガーデンの小道を歩き、そのまわりを囲んでいる植物たちを覗きこみながら写真を撮る。ワークショップで学んだノウハウを駆使しながら笑。そして山道へとつながる道を歩いた。
山道ですれ違う見知らぬ人に「おはようございます」と挨拶を交わす、これも自然の中での旅ならではだ。そこから、もう少し歩いたところで、私たちは引き返すことにした。山道が細くなるにしたがい、山の景色はどこも似ていて、ガイドさんなしでは、迷ってしまいそうだった。
ホテル入り口まで戻ってきたら、一服してる男性がいた。男性はすこし気まずそうに目をそらし煙草をふかしている。たぶんホテルのスタッフの方だろう。その男性にしては、今まさに、パウロがいう第一楽章の世界にいるのだと。仕事や大勢の人の中にいるのだと思った。お仕事ご苦労様です、お世話になっております、おもわず心の中でつぶやいた。わたしは、数分そこにとどまり、話しかけようかどうしようか迷ったけど、結局玄関のドアノブを回し、中へと入った。一度部屋に戻り、朝食前に日記帳を開いた。窓からの景色を眺め、書きたいことはこのことだと。
いったいどうすればかくも異なるふたつの現実に、同時に存在できるのだろう?答えはわからないが、それでもこうしてなにかを書いてることは、喜びをもたらしてくれる。
私はそれを自分の中で、リトリートとよんでいる。
https://youtu.be/bDoAqGtpTGY
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